海の薔薇

夏休み、今日は彼と初めての海。
待ち合わせ場所は、この前二人で見つけたオシャレな海の家。
始めて見る水着姿にどんな反応をするだろう、なんて想像しながら、彼を待っていた。

　「やあ、待った？」
　「ううん、今来たところ」

いつも通りの挨拶なのに、ちょっとぎこちない感じ。
これから初めて水着を見せ合う事になるんだから、嬉しさと恥ずかしさが混ざり合った複雑な気持ちだ。
そんな空気の中でも、彼はやさしくエスコートしてくれる。

　「せっかく海に来たんだからさ、はやく着替えて海で泳ごうよ」

彼はいつでも優しかった。
そんな彼に惹かれたのだ。
全てを許すような彼の優しさに、わたしは惹かれたのだ。
二人は優しく微笑み合った。
そして、どちらともなく手を取り合い、仲良く更衣室へ入っていった。

　「わたしたち、いつまでも一緒だよね、大輔？」
　「あたりまえだろ、拓也♪」

同じ、男子更衣室へ。

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