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世間一般では、今日からゴールデンウィークとかいう大型連休らしいが、
そんなの上京したての貧乏学生である俺には微塵も関係のない話だ。
今日も今日とて、客入りの悪い古本屋のレジで、一人読書という勤労に励んでいた。
ここで働く事になったのは信じられない気持ちでいっぱいだが、本屋の仕事というのはいいものだ。
いいものなのだが、本当によく、この仕事を選んだと思う。


 「HEYそこのユー! 迷えるKO羊さん! アルバイトなら、おじさんの所で働かないKA!」
 「……」

さて、どっか簡単そうなバイトないかな。あっちの方へ行ってみようかな。

 「ちょ、ちょっと待って! 待ってください! 待ってポパーイ!」
 「うわあぁ! 放せ! 誰か、警さ……ぎゃああぁあぁぁ!!」

それが今働いてる古本屋の店主、ホワイトタイガー矢野(自称)との出会いだった。
純白のスーツに覆面マスクという、職務質問は確実のどっからどうみても変態。
捕まっても罪に問われないんじゃないかな。精神鑑定に引っかかって。

まあ、ちょうどバイトを探していたときに、偶然スカウト? されて今に至るというわけだ。
なぜ変態の元で働くのかというと、なんというか、世知辛い世の中ですな。
要するに、お給料がよかったからだ。
世の中、金が物をいうのだ。資本主義万歳!
本当のところは、ちょっと様子を見るだけのつもりだったのだが、ある一点を除いて普通の仕事だったし、
家から近くて高給、さらに楽して稼げるという夢のようなバイトだった。
人にはとても言えないが。特に上司とか上司とか上司とか。


ウィィーン。
自動ドアが開いた音だ。

 「いらっしゃいませー」

体格のいいスキンヘッドのおにいちゃんが、目を血走らせて入店。
迷うことなく18禁コーナー、通称ピンクゾーンへ進んでいく。
しばらくして、いつものように「○学生いけない放課後シリーズ」を持ってくる。
会計の時にチラリと見せた手には、指が4本しかなかった。
都会ではよくあることらしい。

 「ありがとうございましたー」

ウィィーン。

閉まる自動ドアを見つめながら、もうすぐあのシリーズはコンプだな、なんてことを考える。
感慨深いものだ。
さて、お客も居なくなったし、読書に戻ろう。

手元にあった本に視線を移そうとした、その時だった。

俺と、彼女との――出会いだった。


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